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地中でうねうねと絡み合う太い根のように、決して断ち切れない“女性たちの痛み”を描く、アイルランド発のホラー『FRÉWAKA(フレワカ)』。どこか神秘的な響きを持つそのタイトルは、現地の言葉<fréamhacha(フレーヴァハ)=“根”>に由来し、アイルランド語を使用して紡がれる初のホラー作品となっている。
監督を務めたのは、自身もアイルランドにルーツを持つ新進気鋭の女性作家アシュリン・クラーク。緑豊かな美しい大地の上で受け継がれてきた民間伝承、ケルト神話に宿る“土着の祈り”と“呪い”を見事に現代的解釈で甦らせた本作は、映画批評家サイト「Rotten Tomatoes」でスコア96%(2025年11月20日時点)の高評価を獲得しているほか、第57回シッチェス・カタロニア国際映画祭や第77回ロカルノ国際映画祭など各国の名だたる映画祭でも上映され多くの人を魅了している。
赤く光る十字架、不穏の影を纏って現れるヤギ、蹄鉄で閉ざされた赤い扉、謎の祝祭。そして婚礼の夜になぜ花嫁は姿を消したのか——。

STORY

婚礼の夜、花嫁は忽然と姿を消した——。その半世紀後、アイルランドの人里離れた村に住む老婆の介護のため訪れた看護師のシューは、閉ざされた村に漂う“何か”の気配を感じ始める。「ヤツらに気をつけなさい」と怯える老婆、どこからともなく聞こえてくる歌声、蹄鉄に囲まれた赤い扉、藁の被り物をした人々と謎の祝祭、そして掘り起こされていくこの地に伝わる古い記憶。徐々にシューは見えない“恐怖”に吞み込まれていく——。

CAST

クレア・モネリー
役:シュー
クレアはダブリン出身の女優であり、作家でもある。役者としては、ドルイド・シアター・カンパニー、アベイ座、ゲイト・シアター、リヴィン・ドレッド・シアター・カンパニーなどの多くの劇団で活躍し、アイリッシュタイムズ演劇賞に3度ノミネートされた。映像作品においては、特にDeadpan Pictures(デッドパン・ピクチャーズ)、RTÉ(アイルランド放送協会)、Sky One(スカイ・ワン)、TG4などの数多くの製作会社と仕事を共にしてきた。最近は、Keeper Pictures(キーパー・ピクチャーズ)とKingfisher Films(キングフィッシャー・フィルムズ)が製作したドラマ「The Gone」(原題)のシーズン2で、アニータ・ファロン役を再演した。最もよく知られている彼女の役柄には、「Nowhere Fast」(原題)でのメアリーの役と、「Moone Boy」(原題)でのフィデルマの役がある。また、今年のダブリン・シアター・フェスティバルでは、デイヴィッド・ホーラン脚本・演出の舞台作品「Sandpaper on Sunburn」のワールド・プレミアにて、ヘレンの役を演じる。
ブリッド・ニー・ニーチテイン
役:ペグ
ブリードは、2021年にサラ・ジェーン・スケイフが演出する、アベイ座とCompany SJ(カンパニーSJ)の舞台作品「HAPPY DAYS(Laethanta Sona)」(原題)(サミュエル・ベケット著)に出演し、2022年にアイリッシュタイムズ演劇賞の最優秀女優賞を受賞した。最近では、ピーコック・シアターで公演されたコナー・ハンラティ演出による『PERSIANS』(原題)にも出演した。また、長編映画『RÓISE & FRANK』(原題)では主人公であるローシャの役を演じ、2023年にIFTA(アイリッシュ映画&テレビ賞)で最優秀主演女優賞を受賞した。さらに2022年には、複数の部門でアカデミー賞にノミネートされた、マーティン・マクドナー監督の『イニシェリン島の精霊』にオリオーダン夫人役で出演した。ブリードは、1999年までアベイ座の劇団メンバーを務めており、今でも同劇団およびアイルランドの全ての主要な劇団と共に、アイルランド国内外にて公演を続けている。

DIRECTOR

アシュリン・クラーク
脚本家/監督
アシュリン・クラークは、アイルランド出身の監督・脚本家である。彼女は、映画芸術科学アカデミー主催のGold Fellowship for Women 2020(ゴールド・フェローシップ・フォー・ウィメン2020)を受賞している。長編デビュー作品『The Devil’s Doorway』(原題)は、2018年にIFC Midnight(IFCミッドナイト)によってアメリカで公開され、ブラジル、日本、中東、ドイツ、カナダ、イギリス、アイルランドでも公開されている。また、同作品はシアトル国際映画祭の公式コンペティションでプレミア上映され、ヨーロッパではゴールウェイ・フラー映画祭で初上映された上、ビンガム・レイ新人賞にノミネートされた。更に、世界中の主要なホラー映画祭(フライトフェスト映画祭、シッチェス映画祭など)でも上映され、彼女はフライトフェストでScreen International(スクリーン・インターナショナル)のRising Genre Star Award(ライジング・ジャンル映画スター賞)にノミネートされた。クラークは、イギリスの著名なジャンル映画の批評家キム・ニューマンより、“ジャンル映画の真の才能”と評され、オスカー受賞監督であるレクシー・アレクサンダー(『パニッシャー:ウォー・ゾーン』、『フーリガン』)をして、“史上最も才能ある監督の一人”と言わしめた。彼女の最新作である本作は、アイルランド語による初の長編ホラー映画となる。

COMMENT

『FRÉWAKA/フレワカ』は、因習がもつ恐怖の根源を異界、歴史の沈殿、そしてトラウマの継承として描く。
「正しさ」や「守り」の名で積み重ねられてきた選択の連鎖。過去は世代を越えて回収されていく。
信じても地獄、信じなくても地獄。もはや逃げ場はない。
氏家 譲寿(ナマニク)
文筆業/映画評論家
単に土着的な不気味さを描くだけに終わらず、アイルランドの深い禍根を暴く。冒頭から複雑に絡み合い張り巡らされたあらゆる事柄が、おぞましい真実に向かって集約していく様に戦慄した。
人間食べ食べカエル
人喰いツイッタラー
何の歌??何の音??何の声??
意味を教えて。置いていかないで。
不安不安不安不安
ああ、なぁんだ。それなら受け入れないと。
偶然のようで全て導きなんだ。
付け入る隙がたくさんあるものあなたには。
シュー、婚約おめでとう。

難解だけど作りが上手くて惹き込まれる。
ホラーが苦手な私でもこの怖さは癖になる。
怒った高次的存在がもたらす不条理がいちばん怖いんだから。もーー。
同時にアイルランドに興味が沸いた。
神話の妖精さんやゲッシュについて、サウィンやレン・デーのようなイベントについて、音楽や考え方について。
カッコイイな、ケルト音楽。
血に根付く、地に根付く、仕方の無いペナルティのお話。私にはそうみえた。

フレワカ。素敵なタイトル
Chevon谷絹茉優
根幹にはタイトル通り人間の最たるルーツが息づいていて、それがじわじわと真綿で首を絞めるように忍び寄る。

フォークホラーにエンタメを求めれば肩透かしを食らうかもしれない。

しかしシンプルだからこそ呼び起こされるトラウマが、確かにここにある。
野水伊織
映画感想屋声優
土着信仰が根付くアイルランドの片田舎を、過去と現在、この世とあの世、生と死、正常と異常、そして愛情と憎悪までもが溶け合う地獄の一丁目として描いた“ほんとは怖いケルト神話”。

同地域にルーツ(FRÉWAKA)を持つ監督により、時代を超えた呪われた運命が、悲劇として耽美として、そして憧憬の眼差しで紡がれる倒錯。ケルトの精霊のなんと執念深いことか...嗚呼..
末廣末蔵
ジャンル映画大好きツイッタラー
牧歌的で、狂気的な祝祭が
ジワジワと精神を蝕む。

禁断の赤い扉を開けたら最後。

この映画の根っこにあるものを
受け取って、きっと数日うなされる。
ホラー映画取締役
穏やかで雄大な自然に鮮やかでスタイリッシュな映像が映える!!

なんて思っていたら、どこかおかしい。
ゆっくりと地獄に浸っていくような異様な気持ち悪さ、不安がつきまとう…

ああ、なんて邪悪…なんて鬱くしい…
マツヲ
恐怖愛好家
村の隅々まで染みついた習慣や記憶が、侵食してくるフォークホラー。
ジワジワと忍び寄る不快感に、思わず目を背けたくなる。
老婆の秘密、赤い扉の先にあるもの、母親の死、そして結婚。
秘密と向き合ったとき、その残酷な真実と向き合えるか…?
ニャンコ
映画紹介猫
結婚を控えた主人公シューは、孤独死した母の部屋から逃げ出すように、人里離れた村で老婆の介護ヘルパーとして働くことに。「何か」を恐れる老婆の事情を知ったとき、シューが見たものは、正気か、狂気か。
ナイトウミノワ
映画ライター